「させていただく」なる言葉が流行している。
話をさせていただく、評価させていただく、拾わさせていただく、などという感じで使われている。
謙譲語の一種なのだろうが、10年前にはなかった。
ビジネスシーンのみならず、テレビやラジオのアナウンサーも使っている。
本当のことを言えば、私も使っている。
私が使う理由は、「楽だから」の一言に尽きる。
「おじゃまする→行かさせていただく」「申し上げる→言わさせていただく」「拝見する→見させていただく」という具合に「動詞」に「させていただく」を付け加えれば、何となくその場はしのげてしまう容易さがあるからだ。
極力、使わないように心掛けているのではあるが、適当な言葉が思い浮かばない時には、ついつい使ってしまっている。
さて、2010年12月2日のBLOGで「『またそのさま』としての謙虚」について書き、ただただ頭を下げながら、心の中では「ベッ」と舌を出しているのかもしれない謙虚のことを批判した。
そして、よくよく考えると、「させていただく」という言葉づかいも「『またそのさま』としての謙虚」なのだと思う。あるいは、謙譲語でも何でもない記号としての言葉とも言える。
私としては、「させていただく」を、さらにさらに使用しないように気を張るとともに、使っている人の話は、眉に唾をしながら聞きたいと考えている。