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情(報)は人のためならず

 上場企業であるにもかかわらず、取材を一切受けない企業がある。

 そんな企業の役員が贈賄や収賄で逮捕された場合、メディア側はどう受け止めるか?

 「隠さなければいけないやましいことがあったから、これまで取材を受けてこなかったに違いない」と考えるのが普通だろう。

 役員逮捕は属人的な話とは解釈されず、会社ぐるみで何かがあったと勘繰られることになる。

 メディアとのリレーションシップ不足が相互の信頼関係構築を妨げ、メディアの企業に対するイメージを悪いものにしているのである。

 

 その意味からも、上場企業は、IR(インベスターリレーション)を強化し、情報開示に力を入れる必要がある。

 ただ、それは、メディアや金融機関や株主のためではない。

 これから必ず訪れるはずの悪い時期に向けた相互の信頼関係づくりのため、すなわち企業自身のためである。

 「情(報)は人のためならず」である。