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インド小売市場開放とウォルマート独り勝ちの予感

 インド政府は11月24日に流通外資にインド市場の門戸を開放する方針を固めた。

 

 従来は、「SONY」「Nikon」「SAMSUNG」ショップのような単一ブランド製品を扱う小売業の直接投資は、上限出資比率51%まで認められていた。

 

 その一方で、百貨店やスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンターのように複数のブランド(=マルチブランド)を扱う企業の参入はかたくなに拒んできた。

 

 今回の決定は、①出店先は一定規模の大都市限定、②商品は一定以上の比率で小規模企業から仕入れるという条項が盛り込まれるようになると予測されているものの、複数ブランドを扱う小売業にも最大51%の出資比率を認めることになる。

 

 インドの人口は約12億人。しかも年率1%強で増加し続けており、2030年には中国を抜き、世界第1位になると推計されている。

 驚くべきは、平均年齢で、日本の48歳、中国の37歳に対して、インドは29歳と若さに溢れた国家である。

 

 小売業の市場規模は現在約40兆円弱あり、数年後には日本の約100兆円を簡単に上回るという試算もある。

 

 そのインド市場の門戸が開かれる中で、俄然、輝きを見せているのは、米ウォルマートだ。

 同社は、インドのバルティ・エンタープライズとの合弁会社バルティ・ウォルマートを設立。すでに規制外にある現金取引で顧客が商品を持ち帰るキャッシュ・アンド・キャリー型の店舗を出店している。

 

 しかも、同社はマルチブランドが出店できなかった時代から、モノになるかどうかもわからないままにインドの農業振興に手を貸し、投資してきた。

 インドの世帯数の70%超は農業に従事しているから、生産者であり最大の消費者でもある彼らを意識しての長期政策だ。

 

 米国の企業というと、とかく単年度の業績ばかりに目を光らせているように思われがちだ。しかしウォルマートは、それだけではない。

 「10年の計」「30年の計」…進出地の状況に合わせて、変幻自在に政策も変えている。

 そして、それこそが同社を世界最大・最強の小売業ならしめている根源なのである。

 

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