「日本には、団塊の世代向けの専門店や商品がない」と不満をあらわにするのはイオン名誉会長相談役の岡田卓也さんだ。
実際、製造業も小売業もターゲットの軸に据えているのは、彼らの子供たちである団塊ジュニアたち。売場はカラフルで活気のあるものになるかも知れないけれども、人口ボリュームが一番大きい層にはリーチしていないので、機会ロスは相当大きなものになっていると予想できる。
「なぜ、団塊の世代向けに店舗や商品を開発できないのかと言えば、製造業や小売業には彼らと同世代の人間がいないからだ」と岡田さんは問題の本質を喝破する。
確かに団塊の世代は定年を迎え、どんどん退職しており、彼らの欲求をリサーチすることは相当難しい。
「イオングループをリタイヤしたおじさん、おばさんを集めて、もう一度、僕が社長になって起業しようかな?」。
岡田さんは茶目っけのある笑顔で、こう言った。