新年、明けましておめでとうございます。
本年もダイヤモンド・フリードマン社及び『チェーンストアエイジ』誌をよろしくお願いいたします。
以下は、本日のブログです。
通勤途上のサラリーマンも学生も猪突猛進として目的地に急いでいる。そのなかで立ち止まろうものなら、白い目を向けられるか、押し倒されてしまうのが関の山だろう。みな余裕がない。
「立ち止まる」。
こんな簡単なことが忘れられてから久しい。戦後の焼け野原からの奇蹟的な復興は「立ち止まる」ことを罪悪化した。現在、新幹線は東京・大阪間を2時間30分で結び、リニアモーターカーなら30分での移動を可能にすると言われる。
「弾丸ツアー」に乗ってしまえば、地球の裏側まで散歩感覚で出かけられる。
しかし、そうしたスピードアップの裏側では、大切なことが忘れられてしまっている。ことに昨今の流通業界を見ていると、そんなことを実感する。
どこかの企業が業務提携をすれば、各社はこぞって追随する。ディスカウントストア、プライベートブランドが流行となれば、各社は同じような商品政策に奔走する。
そこに消費者を慮っている余裕があるのかなと疑問を抱いてしまう。
「消費者第一」を企業理念に掲げる企業でさえも、そのことを言葉としては理解しているのだろうが、実践という意味では忘れてしまっているような気がする。
その結果、同じような店舗や商品が市場にはあふれ、流通業界の画一化が進む。
消費低迷や消費不況という言葉が定着してしまっているが、そんなふうに考えると、本当に存在するのかと疑いたくなる。
流通業界の画一化に消費者は嫌気をもよおし、物言わぬ反乱をおこしているのではないかと。
それが証拠に、しっかりと自社の信念を持ち、外界の雑音に惑うことなく自己路線を歩んでいる企業は、押し並べて好調を保っている。
ただ、流通各社の画一化が進んでいるということは、差別化に向けては、千載一遇のチャンスといえる。競合相手が同質化しているのだから、それほどの労力を費やさなくとも、意外と簡単にオリジナリティを実現できそうだからだ。
スピードは現代経営の重要項目のひとつであることは十分承知しているつもりだ。しかし、他社の追随速度を上げることは意味のないことだ。
「立ち止まる」。
2010年を迎えるにあたって、この言葉をキーワードとしたい。流行言葉に踊らされることなく、自社の信念は何かをもう一度確認したい。