皇居周辺は、東京国際女子マラソンなどを制した谷川真理さんを市民ランナーから世界のビッグネームに変えた名門コースだ。夜間には警備員が充実しており、安全でもある。
わが社のある神保町から皇居までは直線で1キロ足らず。自然と皇居周辺をジョギングするランナーを目にする機会は多くなる。
近年のマラソンブームに起因して、このところジョガーの数は増える一方。周辺には着替えやシャワーを浴びることができるランナーズステーションなどの設備が続々と登場している。
平日の夜間には5000人弱が走っていると言われ、手をつなげば、周囲5キロのコースを包囲できるほどだ。
だから、いつかは、ジョガ―と歩行者、自転車とのトラブルが起こるのではという予感はあった。
ところが、実際にすでに歩行者からジョガ―への苦情は殺到しているようで、管理する東京都千代田区は、「皇居ジョガー」のルールなどを検討する会議を9月にも設置するという。
非常に情けない話だ。
子供たちでも、1つのボールや1つの遊戯施設をみんなで使って遊んでいる。
いい年をした大人が、行政にルールをつくってもらわなければならないとジョギングひとつできないなんて笑ってしまう。
根本問題は、ジョガーの歩行者に対する思いやりや言い方だけだと思われる。
「ほら、邪魔だ!どけ!どけ!」 「すみません、どいてください」 「申し訳ありません、右側を空けていただけないでしょうか?」
どの言葉を選ぶのか、どんな言い回しをするかで相手の印象は随分異なるだろう。
相手に対する心配りがあれば、行政が介在することなどなく、1つの道を誰もが快適に利用することは可能なはずだ。