写真家でノンフィクションライターの藤原新也さんは著作『東京漂流』(情報センター出版局刊)の中で、アメリカの社会学者ヴァンス・パッカードが『浪費をつくり出す人々』(ダイヤモンド社刊:絶版)で分類した「消費を喚起する10の方法」を紹介している。
10の方法とは、
①捨てさせる
(例)100円ライター、1000円の時計、〈コンタクトレンズ〉、〈カイロ〉、〈スリッパ〉
②無駄遣いさせる
(例)大きめの角砂糖、エアゾール式容器、〈スプレー式鎮痛消炎剤〉
③贈り物にさせる
(例)バレンタインセール、父の日セール、〈カーネーション〉
④蓄えさせる
(例)洋酒瓶、全集本、〈ワイン〉
⑤抱き合わせ商品にする
(例)カメラとカメラケース、〈ポータブルゲームとソフト〉
⑥きっかけを与える
(例)読書週間、虫歯予防デー、〈メニュー提案〉
⑦単能化させる
(例)専用ビタミン剤、〈自転車〉
⑧セカンドとして持たせる
(例)セカンドハウス、セカンドカー、〈テニスラケット〉、〈パソコン〉
⑨予備を持たせる
(例)タイヤ、電球(スペア)、フィルム(ストック)、〈乾電池〉
⑩ 旧式にさせる
(例)〈自動車〉、〈スキー用品〉、〈スポーツウエア〉
である(〈 〉内は私が考えた例)。
この10項目は、『流通革命』の著者である林周二さん(東京大学名誉教授)が「大衆の浪費を刺激する10の戦略」として上記の(例)を含めて紹介しているので、すでにご存じの方にとっては、釈迦に説法かもしれない。
古風なもの、バブリーなものやエコではないなど今日的ではない項目も目につくが、戦略的には現在でも十分通用する。
わが社の販売促進戦略づくりとしては、メーカー、卸売業、小売業の業態を問わず、1項目ごとチェックしてみる価値はあるはずだ。