週末に国立新美術館の「オルセー美術館展2010」を観た。
5月26日の展示スタートから1カ月強の7月13日に来場者が40万人を突破するほどの大盛況。「ポスト印象派」のモネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソーからナビ派までの115点(初来日は60点)を集めたもので、私が訪ねた日も入場制限が出るほどのにぎわいを見せていた。
ポスト印象派とは、1880年代半ば、印象派の影響を受けた画家たちが、さらに革新的な表現を探求して多様な絵画芸術を生み出したというムーブメントだ。何らかのグループも特定の手法や理論もあるわけではないので、作風は各人各様で個性的な作品が並んでいる。
アンリ・ルソーの『蛇つかいの女』(1907)、ゴッホの『自画像』(1887)、『星降る夜』(1888)、ゴーギャンの『タヒチの女たち』(1891)など、美術の教科書にも掲載されたような作品が渡仏することなく、日本でまとめて観ることができるのは、うれしい限りだ。
ただ、惜しむらくは、込み具合が凄まじいこと。1つの絵画に群がる鑑賞者は数10人。じっくり見るにも、さっと見るにも身動きがとれないほどで、熱心な絵画ファンの多さにちょっと驚かされた。
美術展など展示会の需給バランスの悪さの結果なのだろう。
そして「安い費用で、近い場所に、短期間だけ」のレジャーである「安・近・短」の隆盛はまだまだ続いていることを実感させられた。
梅雨明け宣言。いよいよ夏休みシーズン。海外旅行者が増えてきているようだが、今年もなおレジャーの主流は「安・近・短」のままと言えそうだ。