メニュー

“裸の王様”気分を味わう

 マラソン大会で惨敗していた原因がなんとなく分かってきた。

 ウエイトオーバー。太っていたのである。

 

 ここ1年ほど、体重計に乗っておらず、あまり気にかけてもいなかったのだが、彼岸の墓参りでしばらくぶりに会った母親に言われた。

 「お前、前よりもちょっとやせたね。前回会った時は、太って醜くなっていたので、どうしちゃったのかと思っていたんだよ」

 

 「えー、太っていたの?」

 確かに、仕事着のベルトが若干窮屈になったような気はしていたけれども、醜いほどとは思いもしなかった。

 それでも、思い当たる節はある。昨年から今年前半にかけて、右足膝の故障や単行本の編集などの忙しさにかまけて、ジョギングに費やす時間が圧倒的に減っていたからだ。運動量が減っているにもかかわらず、飲み食べの量は変わっていないのだから、必然の結果だろう。

 

 ただ、プライベートでも仕事でも、私の周囲にいる人たちは、そんなことを言っていなかったので、まったく気づかずにいた。

 気を遣ってくれているのだろうけど、こういうことはちゃんと指摘して欲しいものだ。

 

 “指摘してくれない族”――。

 中年のメタボの原因を垣間見たような気がした。

 

 きっと、“裸の王様”の気分とは、こんなものなのだろう。