情報化社会だと言われる。
「ヤフー」や「グーグル」などの検索エンジンを活用すれば、たいがいのことは即座に分かる。「日経テレコン21」を操れば、新聞や雑誌の過去記事の検索も簡単にできる。
情報化社会の中心に君臨しているのは、パソコンであり、暗記能力さえもそれほど必要がなくなっている。
『チェーンストアエイジ』誌の編集部も私が入社した当時とは、情報収集方法が大きく様変わりした。以前は、有価証券報告書や決算短信は、大蔵省まで足を運んでコピーさせてもらっていたが、いまやパソコンのキーボードを叩くと閲覧できるようになっている。
その気になれば、取材に出ることなく、パソコンで集めた情報だけで記事を書くことも可能だ。
しかしながら、情報化社会と言われるものの、その中身といえば、同じニュースソースの情報をあの手この手でアレンジして、発表しているだけであって、本当に必要であったり、重要であったりする情報は実は入ってこない。
(例1)ウサマ・ビン・ラディンがいまどこで何をしているのか?
(例2)金正日の健康状態はどうなっているのか?
(例3)麻生内閣が毎月1億円ずつ引き出してきた官房機密費の詳細はどうなっているのか?
こうした情報は、キーボードをいくら叩いても絶対に出てこない。
「人の頭の中身」だって同じだ。ある人が何を考えているのかは、情報化社会と言ってもまったくわからない。
いま言われている情報化社会とは、以前よりも過去情報の入手方法が改善された程度であり、実は分かっていることの方が少ないとは言えまいか。
逆にいえば、だからこそ、私たちのようなメディアには存在価値がある。キーボードを叩いても出てこない情報をどんどん提供していきたいものだ。