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“地域密着”の条件(2)

 昨日のBLOGhttp://diamond-rm.net/articles/-/4275を書いていて思い出したことがある。

 

 30年前に通学の乗り換え駅で2カ月ほどアルバイトをしていた飲食店での出来事だ。

 

 精算のためにレジに入ると、中年然とした男性のお客さんから領収書の発行を求められた。

 宛名を聞くと、「そこの『フランス弁当』」だと言う。

 

 「フランス弁当」? 

 おかしな宛名だな、と疑心暗鬼ながら書いて渡すと、お客さんは立腹の態。目尻をキッと上げて私を睨んでいた。

 「そこのそばにある『フランスベッド』と言ってるじゃない。知らないの?」

 

 はっきりと「知りません」とも言えずに、茫然と立ちつくしていると、異変を察知した店長が慌てて駆け付け、その場を取り繕ってくれ、事なきを得た。

 

 その日の仕事が終わり、退社後に、街を歩いてみた。なるほど4~5分行くと大きなビルの立派な会社があった。

 この土地で飲食業をしているのに、この企業を知らない、と言うのは、お客さんにとって、さぞかし腹の立つことだったろう、と納得できた。

 

 地域で商売をし、地域密着を謳うのであれば、周辺の地理や消費者の嗜好はもちろん。土地の名前の由来や歴史、観光スポット、役場の場所、そこにある有名な企業くらいまでは常識として覚えておく必要があるかもしれない、と30年前を回想しながら確信した。