「3月11日、平和堂(滋賀県)の夏原平和社長は、会議のため訪れていた帝国ホテルで東日本大震災に遭い、帰路に着けず、ロビーで毛布にくるまって一夜を過ごした」という噂が流通業界を駆け巡っていた。
なぜ、そんな話になったのかは、知る由もないところだが、夏原社長は、当日のことを振り返り語った。(談:文責・千田直哉)
ええ、確かに3月11日は、日本スーパーマーケット協会(東京都/川野幸夫会長)の常務会があり、東京の帝国ホテルにいました。
しかしその日のうちに滋賀県の自宅に帰ることができました。
帰宅難民になる一歩手前の危機的な状況にあったことは間違いありませんが、この時、大いに役に立ったのはテレフォンカードです。
私は携帯電話をよく使います。そのためバッテリーがよく切れてしまいますので、出張の時にはテレフォンカードを必ず2枚は持って出るのを習慣にしていたのです。
地震後、帝国ホテル内の公衆電話には長蛇の列ができました。
しかし、2人しか並んでいない列があるので、よく見てみるとグレーのカード専用の公衆電話だったのです。
これ幸いと本部に電話をするとすぐにつながり、会社の状況を完全に把握することができ、直接指示を出すこともできました。
万が一のため、東京での宿泊先となるホテルの予約をすることまでできました。
その意味では、まさに、テレフォンカードさまさまでした。
その後、東海道新幹線が動き始めたことを知り、滋賀県に帰ることができました。
もう忘れられてしまっているような過去の遺物、死語になっているかもしれませんが、テレフォンカードは非常に便利なのでぜひ携行をお勧めしたいと思います。