元NHKのニュースキャスターの池上彰さんが大ブームである。
『週刊こどもニュース』で培った分かりやすいニュース解説でブレイク。
いまや書店に行けば、池上さんの著作だらけ。Amazon.comで「池上彰」と打ちこむと、50数作品が掲示される。うち2010年に発刊されたのは17冊、1か月平均では約1.5冊の単行本を出版。これは流行作家をはるかに上回る超ハイペースであり、実際に売れているから、また著作が発刊される。
TVに出演すれば、軒並み高視聴率を叩き出している。きっと、年末年始の特別番組にも引っ張りだこだろう。いまごろは、番組録画に追われているかもしれない。
ただ、こんな傾向を見ていると、危うさを感じる。
「“一発屋”と総理大臣」(2010年11月27日、28日)のBLOGでも書いたが、今度は文化人の使い捨てが予想できるからだ。
われわれの出版業界やTV業界は、発行部数や視聴率につながるものには何でも飛びつくという悲しい習性がある。自分で新しいトレンドを創り出すのでなく、2匹目、3匹目のドジョウを狙う。また、そこに、何匹かのドジョウがいるものだからタチが悪い。
その結果、「○○ブーム」にはなるのだが、長くは続かない。“旬の人”や“時の人”がホネになるまでしゃぶりつくしてしまうのだ。
われわれの業界で本来重視すべきは独創性なのだが、残念なことに、どこかの業界同様、同質飽和化が定着してしまっている。情けない話だ。反省!