ダイヤモンド・フリードマン社で記者駆け出しだったころ、取材でスコットランドのウイスキー蒸留所(ディスティラリー)巡りをしたことがある。
ピート(泥炭)やポット・スチル(銅製の単式蒸留釜)の違いによって蒸留所ごとに独特の味わいがあるシングルモルトに魅了され、以来、愛好家を自称している。
「クライヌリッシュ (Clynelish)」、「ダルモア (The Dalmore)」、「リンクウッド (Linkwood)」、「クラガンモア (Cragganmore)」、「カーデュ(Cardhu)」など当時訪れた蒸留所のものを好んで飲んできた。
ただ小社そばのショットバーのマスターから勧められてからというもの、いまは、そのバーで入手したシェリーグラスで、あるブランドのストレートばかり飲んでいる。
スコットランド本土の北、北緯59度に大小70余りの島々からなるオークニー諸島にある「ハイランドパーク(HIGHLAND PARK)」だ。
『ハンドブック オブ ウイスキー』によれば、「ヘザーの根、甘いスパイス、フルーツの皮(マーマレード)がゴージャスに甘く溶け合い、ピートスモークが漂う。バターキャラメル、乾燥ハーブ、ヘザーハニーが、ピートスモークのほのかな香りで一つに束ねられている、まさに魅惑の一杯である」と記してある。
とろーりとした舌触りと、何とも言えない複雑な甘さは、全く飽きを感じさせない。
価格は、ネット通販なら、750ml(12年もの)で3500円前後。シングル(30ml)であれば25杯取れるので、1杯当たりは140円。1本で3週間程度楽しめるのだから、ワインや日本酒などの醸造酒と比べればコストパフォーマンスは相当高い。
ウイスキーはハイボールブームで復活を果たしているけれども、シングルモルトのように芸術的で素敵なアルコールもある。