アメリカの年末商戦でもっとも売れる日は、「ブラックフライデー」である。感謝祭(Thanksgiving Day:11月第4木曜日)の翌日の金曜日のことであり、この日から「クリスマスセール」がスタートする。「小売店も消費者も黒字になる」とのことから、この名称がつけられたという。
2番目に売れるのは、クリスマスの翌日の「12月26日」であり、この日から一斉に「値引きセール」がスタートする。
歳時をうまく利用して、消費のヤマをつくり出そうと努力する小売業界の様子をうかがうことができる。
これに対して、日本の「クリスマスセール」の中身を見れば、この25年間を振り返っても大きな変化はないような気がする。
11月下旬くらいから12月25日までクリスマスツリーをオブジェに据え、ショッピングセンター内や店舗内に装飾を施し、ボーナスの出た消費者に約1ヵ月にわたって消費を喚起するというものだ。
その間にメリハリがあるかと言えば、だらだら漫然と流れているのが実情だ。
釣りにたとえるならば、“仕掛け”をつくり、万全の準備を整え、ポイントになる場所を決め、糸を垂らしたら、「サイは投げられた」とばかりに、ただただ魚を待つというイメージだ。
日米の事情は大きく異なるので、単純な比較はできないけれども、日本でも、業界全体が一致団結して「ブラックフライデー」や「12月26日」のようなセールのヤマをつくるような試みがあってもいい。
まず「クリスマスセールのスタート日」を決めるとか、「クリスマスイブイブ(12月23日)」「イブ(12月24日)」「クリスマス(12月25日)」「晦日(12月30日)」「大晦日(12月31日)」「元日(1月1日)」など――。
口で言うほど簡単なことではないことは理解しているつもりだが、消費を喚起するヤマづくりの候補日はアメリカよりも、よほど多いのではないだろうか?