滋賀県の高齢化率は、65歳以上が20.6%、75歳以上が10.2%(2011年7月1日現在。滋賀県社会福祉協議会調べ)という状況である。日本の高齢化率は23%と言われており、それよりは若干低いとはいえ、他の都道府県同様、高いレベルにあると言っていい。
その滋賀県に3店舗を構えるフタバヤ(中川智之社長)という食品スーパー企業がある。興味深いのは、高齢化対策として買い物バスの「ふたばす」を運行させていることである。
火曜日~金曜日の4日間、それぞれ2コースずつ、合計8コースを1週間に1度、走らせている。
たとえば、火曜日の「甲良町方面」便は、9時28分に「犬方公民館」を出発。合計16の停留所を経由して、10時10分にフタバヤ彦根店(彦根市)に到着する。その後、買い物をしてもらい、フタバヤを発車する時間は11時15分。「ふたばす」は、逆ルートをたどってお客を送っていく。
交通手段を持たない高齢者の老人たちは無料の買い物バスに大喜びだ。彼らにとって一番の喜びは、選べることである。
あらかじめメニューの決まった弁当などをお仕着せで配達されるのではなく、自分の目で見て、好みに応じて買い物をする。バスを廃線されないように買い支えをするお客も少なくない。たとえ若干割高な商品でも購入してくれるケースもある。
それでも、たぶん「ふたばす」は赤字だろう。行政に運行用の資金援助を要請したこともあったが却下された。また、お客からバス料金を徴収することも画策したがやめたのだという。
だからこそ、「ふたばす」を走らせ続けるフタバヤの信念は見上げたものである。
ただし、このフタバヤの状況を見て、アドバイスの声も挙がっている。
「バスの目的地を店舗のみとするのではなく、病院や理美容院、ホームセンター、ドラッグストアなどの施設にも止め、フタバヤさんが1社でコストをかぶるのではなく、数社で分担すれば経費は軽くなるのではないか」。
Uターンバスではなく、ラウンド(巡回)バスにしようというのである。
確かにその手はある。
高齢社会を勝ち抜くには、いままでには思いもつかなかったアイデアを駆使する必要があるということだ。