80年の人生を20年ごとに4つに区切って春夏秋冬で表すと、さみしいことに私はもう初秋――。
そんな人生を綴った歌にいまはまっている。
斎藤和義さん(44)の新譜アルバム『Are you ready ?』の8曲目にある『いたいけな秋』である。
愛くるしいラップに合わせて、これまでの人生を振り返りつつ、40代半ばになった自分を総括している。
有名人の偉業と自分を比較しながら、自分がそのレベルに追いついているのか? 追いつかないのか? を自問自答するという内容だ。
その歌詞の中に出てきて驚かされるのは、ジョン・レノンが『イマジン』を書いたのは30歳の時、享年40歳。ジミー・ヘンドリックスがウッドストックでギターを燃やしたのは25歳、享年27歳。
フランシス・フォード・コッポラが『地獄の黙示録』を撮ったのは40歳。ロバート・デニーロが『タクシードライバー』に出演したのは34歳。『ET』のスチーブン・スピルバーグは35歳。『風の谷のナウシカ』の宮崎駿は43歳。『七人のサムライ』の黒澤明は44歳。『北の国から』の倉本聰は46歳。『ふぞろいの林檎たち』の山田太一は49歳だ。
彼らの作品に初めて接したときには、「こうした偉業は、自分より齢を重ねている大人だからできるのだ」と勝手に思い込んでいたものだが、気がつけば、彼らの年齢をいつしか追い越し、何の仕事も遂げていない自分がいる。
まあ、人生の目的は、偉業を成し遂げることにあるだけではないので、どうでもいいといえば、どうでもいい話なのかもしれないけれども、なかなか考えさせられてしまっている。