“締め切り”の威力は凄い。
『チェーンストアエイジ』誌の筆者に限って言えば、小誌の記者や私も含めて、守らない者は1人もいない。私が編集長をしている期間に限っていえば、執筆予定者が、発行号をジャンプさせたり、落したりしたケースは、これまで一度もなかった。
ただ、多くの筆者は“締め切り”までは悠然と構えており、不思議なことに追い込まれてから力を発揮する。
そう考えると、学生時代は、死ぬほど嫌だった定期試験の意味合いもわかってくる。教師からの一方通行で伝えられた知識をどこかのタイミングで〆て確認しないと、ちゃんと習得するチャンスは永遠に訪れないからだ。
まして、ティーンズの遊びたい盛りに、関門を設け、学生にプレッシャーをかけるという“締め切り”がなければ、学生はやりたい放題をするだろう。
もちろん、“締め切り”がなくても、しっかりやる人間もいるし、あってもまったくやらない人間もいる。だが、一般論としては、人間は追い込まれるまで、なかなか嫌なことには着手しないものだ。
企業の場合も、似たようなところがある。
一部の優良企業を除けば、追い込まれるまで、事業の再構築や新規事業への取り組みなどの革新的な動きは始まらないことが多い気がする。
だが、いまは100年に1度という絶体絶命の大ピンチ。“締め切り”が目前に迫るほどに追い込まれているのだから、本気で何かを始めるには絶好のチャンスである。