3社目の強い流通外資企業は、アマゾンジャパン(以下、アマゾン:千葉県/ジャスパー・チャン社長)である。
上田流通問題研究室を主宰する上田俊秀さんによれば、アマゾンの特徴は大きく10に上る。
(1)24時間いつでも利用可能
(2)豊富な品揃え
(3)在庫状況により納期が明確
(4)中古品の紹介(マーケットプレイス)
(5)様々な検索機能やワンクリックショッピングなどの利便性
(6)1500円以上の購入で送料無料
(7)おすすめ商品情報提供(パーソナライゼーション)
(8)読者による書評(カスタマーレビュー)
(9)返品期間内での返品が可能
(10)紹介プログラム(アソシエイト・プログラム)
従来型の書籍小売業では、なかなか手の届かなかったサービスを、これでもかと提供してくれる。
ただ、書籍の場合は、実際の売場での発見の楽しさということもあるので、既存書店には、まだまだやりようがあるだろう。だが、あらかじめ購入する書籍の決まっている者や著しく時間に追われる多忙者、大型書店不在の遠隔地居住者などにとっては、便利なことは疑いない。
アマゾンの注目される動きとしては、開発に3年半を費やして電子書籍端末の「アマゾン・キンドル」を発売していることだ。ペーパーバックよりも軽くて薄い携帯端末には200タイトル以上を保存することができる。これを活用すれば、もはや印刷物としての書籍は不要ということにもなりかねない。
アマゾンは、コストコやイケアのように自社でオリジナル商品を開発しているわけではないが、インターネットを介在させたビジネスモデルや「アマゾン・キンドル」は、米アップルの「ipad(アイパッド)」ともども出版業界のあり方を変え、消費者の行動を大きく変えるものと予想できる。