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『チェーンストアエイジ』誌に商品のアップ写真が増えている訳

 これまで『チェーンストアエイジ』誌の記者が食品スーパーの売場取材に行った際には、引いた写真を中心に撮影していた。実際、新店紹介コーナーである「ニューストアレポート」のバックナンバーを繰っても、出てくるのは引いた写真ばかりだ。

 

 これには小売業側の事情がある。

 インスタントコーヒーやカレールー、サラダ油などのナショナルブランド商品をいくらで販売しているのかを製造者や競合店に知られたくないからアップにしないでほしい、という取材者への要望があったからだ。

 

 また、これまで小売業の売場は、“問屋丸投げ”の商品政策を採っていたために、どの企業のどの店舗に行っても並んでいる商品には大差がなかった。違いがあるのは、カテゴリーごとの棚割、什器や冷機などの機器、照明など――。つまり、引いた写真の方が各社の僅かな違いを伝えることができたわけだ。

 

 ところが最近は、こうした状況が一変しつつある。

 食品スーパー各社は、総菜や半加工品(ハーフデリ)、日配品や冷凍食品などの自社開発に力を入れ、単品で差別化を図ろうとするようになっているためだ。

 

 たとえばヤオコー(埼玉県/川野清巳社長)の冷凍オリジナル商品の「やさしいテーブル」シリーズは、引いた写真で見ても素晴らしさは伝わらず、「容量」「値段」「メニュー」などが分かるようにアップにする必要がある。

 

 広島県福山市に本拠を構えるエブリイ(岡﨑雅廣社長)の「夕方のできたて 午後から弁当」(298円)は、副菜を少しずつ変え、お客に選択幅を持たせている。これを引いた写真で見ても何が何だか分からないだろう。

 

 そして、こういう細かな部分をしっかり伝えるのが小誌の使命であると考えるため、最近の「ニューストアレポート」では、商品一品一品のアップ写真の掲載も強化するようになっている。

 ぜひ、そこを汲み取っていただき、ルーペなどを活用しながら、掲載されている写真を見ていただければと思う。