東日本大震災が起こった後の、私生活の変化を挙げてみる。
①ジョギングをやめた
②ツイッターを始めた
③こまめに電気を消すようになった
④さらにテレビを観なくなった
⑤さらにラジオを聴くようになった
⑥2次会は積極的にはいかない
⑦外食には率先していかない
⑧酒量は増えた
⑨洋服を全く買っていない
思いつくままに列挙してもこれだけある。明らかに何かが変わったために生活が変わった。
生活の変化は、消費にも変化を及ぼす。
たとえば、①ジョギングをやめることは、水分の摂取量が減り、洗濯の回数が減り、シャワーを浴びる回数が減ることにつながる。
たぶん、3月11日以降、すべての人に少なからず、こんな小さな日常生活の変化があったはずだ。
1人1人の変化自体は、それほど大きなものではないかもしれないが、それらがまとまると大きなうねりになる。過去のトレンドや常識は覆され、「新しい現実」(=new reality)が登場する。
ということは、小売業は、この「新しい現実」に対応する形で、既存の商品政策も変える必要があるということだろう。
イオン(千葉県/岡田元也社長)グループは、「新しい現実」に対応するために岡田社長の下に10人の役員を配して、マーケティングには特に力を入れる意思を露わにしている。
日本全土を、(1)直接被災エリア、(2)計画停電エリア、(3)非被災エリアの3つに分け、それぞれの事情に応じた商品政策を実施するという。
「これから何が起こるか分からない。“全国一律”“東京一極集中”“東京発信”という従来型の形は今後、ありえないかもしれない」と岡田社長は言い、細かな対応を図るために、新しいマーケティング組織を立ち上げた。
東日本大日本震災後の「新しい現実」を受けて、いかなる対策を見せてくれるのかは楽しみだ。
しかし、考えてみれば、こうした「新しい現実」への対応を得意とするのは、より小規模なローカルチェーンであり、リージョナルチェーンである。
消費者に近い位置にいる分、消費者の変化や動向をナショナルチェーンよりも、迅速にキャッチでき、対応もできるからだ。
変化はビッグチャンス。ぜひとも頭を切り替えて、「新しい現実」に備えたい。