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タイガー・ウッズも大いに感謝

 ナイキ社の誕生は、1964年であり創業46年。オレゴン大学の元陸上部員フィル・ナイトと陸上競技コーチ/ビル・バウワーマンが500ドルずつ出資し、ブルーリボンスポーツ社を設立したことに始まる。

 

 当初は日本のオニツカ(現アシックス)の代理店としてスタートしたが、初のナイロン製シューズなどを開発。71年には商標登録して、ブランド名をナイキに、78年にはブランド名だったナイキに社名変更。その後、世界的にシェアを広げる。

 

 82年には「エア・フォース・ワン」などのエアシステムの名作スニーカーを次々発表。85年、NBA(ナショナル バスケットボール アソシエーション)シカゴ・ブルズのルーキーだったマイケル・ジョーダンと契約。彼をモチーフにした「エア・ジョーダン」シリーズは現在のナイキ人気を決定づけたといってもいい。

 

 87年にエアシステムをビジュアル化した初代エアマックスが大ヒット。95年発売の「エアマックス95」の人気は物凄く、日本では「ナイキ狩り」なる犯罪が社会問題化した。

 

 ナイキの躍進ぶりは、その先端技術に裏付けされていることに違いないが、それを上回ってあまりある市場戦略にこそ他のメーカーの追随を許さない強さがある。

 

 その大きな柱となっているのが選手とのスポンサー契約だ。実力が未知数とみられている時期に莫大な契約金を支払って囲い込む。たとえば、タイガー・ウッズとは、プロ入りに際して4000万ドルの大型契約を結んだ。

 現在も、サッカーなら、ロナウジーニョ(ACミラン)、クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)、ウェイン・ルーニー(マンチェスター・ユナイテッド)など多数のスーパースター。野球では、デレク・ジーター(ニューヨークヤンキース)、松阪大輔(ボストンレッドソックス)。テニスでは、ロジャー・フェデラー(スイス)やマリア・シャラポア(ロシア)。バスケットボールは、コービー・ブライアント(ロサンゼルスレイカーズ)やヴィンス・カーター(オーランドマジック)、自転車では、ランス・アームストロング(アメリカ)といったビッグネームとスポンサー契約を結んでいる。

 

 ナイキの素晴らしさは、スランプ時や故障時にも選手を見捨てない企業姿勢にあり、契約選手の同社評価につながっている。

 不倫問題が発覚して、地に落ちたヒーローとなったタイガー・ウッズへの支持をいち早く表明し、契約を継続する事実も、やんちゃな選手たちにはありがたい保険だろう。