記者や編集という職業に「絶対」という言葉はあり得ない。たぶん、『チェーンストアエイジ』誌のバックナンバーを読んでいただいても、記者の意見の中には、「絶対」と言葉は出てこないはずだ。
でも、よく考えれば、記者や編集という職業だけでなく、企業人、学生、地域人、家庭人などにあっても、「絶対」を使うことは好ましくない。
なぜ、ダメなのかと言えば、「絶対」という言葉が使った瞬間に思考が止まってしまうからだ。
たとえば、流通業界でいうなら、「絶対、価格破壊はダメ」「プロセスセンターは絶対、競争力がない」「チェーンストアでは絶対接客をしてはいけない」「プライベートブランドは絶対にいい」と、「絶対」を枕に置いてしまうと、それ以降のことは考えなくなってしまう。
「絶対」は、勇ましい。相手を否定する時には、自分の主張変更はないと宣言するとともに、交渉の余地も持たないことを明らかにする意味も兼ね備えており、非常に使い勝手がいいからだ。
しかし、「絶対」は、本当は両刃の剣であり自分の成長を阻害する役目を果たす。
「絶対」という言葉は絶対に使うな、覚せい剤は絶対にいけない、絶対権力は絶対腐敗するという使い方もなくはないが、その「絶対」と思われる事柄にしてももう一度考えてみる価値はある。
結論としては、「絶対」を否定し、「もしそうだとすると」と考え直してみると、弁証法的に思考の幅が広がり、より建設的な発想ができるようになる。