帝国データバンクによると今年1月~9月の外食産業の倒産(負債1000 万円以上、法的整理のみ)は490件(対前期比4. 0%増)発生している。
倒産主因別動向を見ると、「不況型(販売不振ほか)」が387件でトップ。競合激化、個人消費低迷などはもちろん、一般家庭では内食・自炊回帰傾向が高まり、企業でも宴会や接待も減っていることなどが 倒産件数の増加に結びついているのだろう。
では、外食産業の仇敵として、長く“胃袋戦争”(ストマックウォー)を繰り広げてきた食品スーパーマーケット(SM)が勝者として、勝ち名乗りを受けたのかといえば、簡単にはそうとも言い切れない。
外食産業の不調は、そこで働く従業員の家計を圧迫し、結果として、SMへの支出額減として跳ね返ってくると予想できるからだ。これは、外食産業に限ったことではなく、同一商圏内の競合するSMを打ち負かした場合も、そこに勤務する従業員は職場を失い、生活を切り詰めざるをえなくなる。
忘れてはならないのは、ライバル企業の従業員や家族もまた“お客様”ということだ。
競争に勝つことは、もちろん大事なのだが、産業構造シフトや市場の新陳代謝がスムーズではない状況下で、SMという業態が勝ちすぎてしまうことには問題があるのかもしれない。