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ガラパゴスな小売業

 ガラパゴス化とは、「生物の世界でいうガラパゴス諸島における現象のように、文化・制度・技術・サービスなどが日本の市場において独自の進化を遂げ、世界標準から掛け離れてしまう現象のことである。技術的には世界の最先端を行きながら、諸外国では全く普及していない日本の携帯電話の特異性を表現するために登場した新語である。転じて、日本に限らず世界標準からかけ離れた市場を指す場合もある」(ウィキペディア)。

 

 日本の小売業の中にも、ガラパゴス化しているような企業が数多くある。

 とくに食品スーパーやホームセンター、ドラッグストア業界に顕著であり、中規模クラスの企業に多い。

 

 その特徴は、①地元の老舗、②過疎地が地盤、③同族経営、④情報開示が悪い、⑤小売業の仲間がいない、という5点に絞られる。

 

 ただ、小売業の場合は、日本の携帯電話のように、世界最高レベルの技術を持ち、同業他社と圧倒的差別化が図れれば、ガラパゴス化はむしろ競争力となり悪いことではない。

 

 しかしながら、ここで私が指すガラパゴス化の小売業は、日々進化する周辺の環境から取り残されているだけなのである。

 

 地元の老舗で同族経営だからプライドが高く、純血主義を守り、新しい資本を入れようとしない。ドミナントは過疎市場に立脚しているから、大手は興味を示さず、本格的参入をすることがないから何となく生き残っている。しかも情報開示が悪いから、仲間ができずに新しい情報がなかなか入ってこない。

 

 こういう企業は、M&A(合併・買収)の格好のターゲットになっても不思議ではない。ところが、なかなか再編が進まないのは、その魅力すらないからなのかもしれない。