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「YOU TUBE」にアップロードするぞ!

 ちょっと古くなってしまったけれども、尖閣諸島のビデオ流出事件についてである。

 これまでの常識からいえば、かの海上保安官は、中国の漁船衝突ビデオを新聞社やテレビ局などの大手メディアに持ち込んで不思議ではなかった。

 

 ところがそうせずに動画コンテンツ共有サイトの「YOU TUBE」にアップロードする途を選んだ。

 11月25日の読売新聞によれば、海上保安官は「映像を記録した外部記憶媒体のSDカードを米国のニュース専門局CNNの東京支局に郵送した。CNNが映像を放送しなかったため、投稿を決意した」と供述しているという。

 

 この話が本当だとするならば、日本の大手メディアは、もはや存在価値をなくしてしまったといわざるを得ない。

 理由は、ビデオが米国のCNNに持ち込まれたこと、その代替策として「YOU TUBE」にアップロードされたことである。そこに日本の大手メディアという選択肢はなかった。

 

 かつて、芸能人を脅かす言葉として「ナシモトに言いつけるぞ!」というのがあった。芸能レポーターの先駆者、故梨本勝さんという発信源としての力を示すフレーズでもあった。

 そして、従来、一般人が内部告発など重要な情報をリーク(=タレコミ)する際には、梨本さんよろしく、新聞社やTV局などの大手メディアに向かうのが普通だった。

 

 ところが今回の海上保安官の行動が結果として示したのは、日本のメディアの存在感の薄さといまや一般人が情報をどこからでも地球全体に発信することができる時代になったということだ。

 

 実は、漁船衝突ビデオを海上保安官が日本の大手メディアに持ち込まなかったということこそ、ビデオ流出以上に大ニュースなのだと思う。

 日本の大手メディアが発信源としての力を失い、海外メディアに負け、「YOU TUBE」に負けたことが明らかになった大きな転換点だったかもしれないからだ。

 

 きっと、だからなのだろう。日本の新聞やテレビ局など大手メディアは販売部数、視聴率、業績の不振が続いている。

 

 ※同じような理由で、匿名によって政府、企業、宗教に関わる機密情報を公開するウェブサイト「Wikileaks(ウィキリークス)」にも注目している。