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ロバート・ナルデリという男

 ロバート・ナルデリという男がいる。

 ゼネラル・エレクトリック(GE)社において、かのジャック・ウェルチ元CEO(最高経営責任者)が自分の後釜として絞り込んだ4人の候補に残っていた男だ。

 

 結局、後継者レースではジェフリー・イメルトに敗れ、GEのCEOになることはかなわなかったが、2000年に米国最大のホームセンター企業ホームデポに迎え入れられることになった。

 

 ホームデポは1979年の創業。バーニー・マーカスとアーサー・ブランクの共同創業者とともに家族的な経営で着実に成長してきた企業だった。

 

 ナルデリは、家族的経営の近代化を図るべく、ホームデポの会長兼CEO就任後の2年間で35人の取締役のうち27人を退職させ、外部からのヘッドハンティングで経営者を集めた。

 

 在任期間中、ボブ・ナルデリは売上高を457億ドルから815億ドルに伸ばした。

 

 しかしながら、強力なリーダーシップで合理化を推し進めた結果消費者サービスは低下し、株価は低迷。企業価値を大きく減らした。

 また株主を無視した株主総会のやり方は、各所から非難された。しかも6年後には退職金2000万ドルを含む2億1000万ドルを手土産に追われるようにホームデポを去った。その巨額さをまたまた非難された。

 

 どんなに優秀であっても、MBA取得者であっても、商売は理論通りにはいかないということをナルデリは見せてくれた。所詮、頭の良さだけでは小売業の経営者は務まらないという反面教師の良い例である。

 

 <追記>

 その後、ナルデリは投資ファンドのサーベイラスの顧問に就任。ダイムラークライスラーから、サーベイラス傘下に入ったクライスラーの会長に就き、再建に注力するも失敗した。