もう、10年も前のこと。ある非食品の小売企業が自社開発商品を強化し始めた。
取材で店舗に行くと、社長自らが1品1品の開発までの労苦やセールスポイントを解説してくれ、大変うれしく感じたものだ。
お礼というわけではないのだが、社長の肝煎りの開発商品を2つ購入した。
帰宅後に、早速、家で試してみると、あにはからんや、2つともすぐに壊れてしまった。
その企業のことを真剣に考えるのであれば、その事実をちゃんと伝えるべきなのだろうが、誇らしげに説明してくれた社長の姿を思い出すと、どうしても伝えられなかった。
イングランドの文学者サミュエル・ジョンソンは「地獄への道は善意で舗装されている」(The road to hell is paved with good intentions.)と残しているがまさにその通り。
耳が痛くなるような事実を指摘してくれる他人は、とても少ないものだ。
ただ、私の場合、いまでは、売場を訪問して、苦言を呈することは日常茶飯事、お茶の子さいさい、という厚い面の皮を持つに至っている。
というわけで、時に厳しいことを話すかもしれませんが、悪意はまったくありませんので大目に見ていただければと思います。