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地獄への道は善意で舗装されている PART2

 「地獄への道は善意で舗装されている」と、5月11日のブログで紹介したが、小売業界でも同じようなことが起こっていることを発見した。

 

 まず、最近の低価格競争が挙げられる。巷では「何もそこまでディスカウントしなくてもいいのに」というほどの「オーバーディスカウント」が横行している。多くの小売企業は、「お客様のために」とばかりに、身を削った出血大サービスで低価格を打ち出しているけれども、儲かっておらず、業績不振への道を辿っている。

 

 「オーバークオリティ」というのもある。たとえば、トレーサビリティシステムをしっかりと整え、生産者から店頭までのルートを明らかにすることは消費者にとっては悪いことではない。ところが、システムを構築するためのイニシャルコストや運営していくためのランニングコストは馬鹿にならない。その結果、小売企業の善意が自らの首を絞める結果になっている。

 

 さらには「オーバーサービス」だ。たとえば、インターネットで商品をオーダーするネットスーパーでは、5000円以上の買い上げで配送料を無料にしている企業がある。しかし、行き過ぎたサービス提供によって、利益がほとんど手元には残らない事業になってしまっている。こちらも善意がおかしな収支構造の原因となっている。

 

 善意というのは美しいから、社内外の誰もが否定しにくい。そこがこの問題の厄介なところだ。