以前から、RTD(レディ・トゥ・ドリンク:清涼飲料)のパッケージ、容量のバリエーションのなさに疑問を抱いていた。
まるで業界内で談合しているように、缶コーヒーなら190ml、缶飲料は350mlか500ml、ペットボトル飲料なら500mlか2lというサイズばかりが目立つ。
食品スーパーやコンビニエンスストアなどの自動販売機や棚に並べにくい形状だと導入してもらえない可能性が高いことをメーカー各社が危惧し、無難な道を選択した結果、同じようなサイズばかりがそろったものと想像はできる。
ところが日本コカ・コーラ(東京都)のダニエル・H・セイヤー社長は、「これからはパッケージや容量がヒットのポイントになる」と断言する。
その発言の裏側には、樹脂使用量を39%カットし、280mlと520mlという容量で発売したミネラルウォーター「い・ろ・は・す」が大成功した自信がある。「い・ろ・は・す」は2009年5月の発売開始後3カ月で1億本を突破。これまで、すでに発売本数は3億本に到達、小型ミネラルウォーター市場でのシェアナンバーワンを獲得した。さらに、この6月7日からは1020mlという従来型とは異なるサイズを新発売する。
セイヤー社長は、「パッケージのイノベーションで売上はあがる」と自信満々だ。
実際、パッケージ変更による日本コカ・コーラの成功事例は「い・ろ・は・す」だけではなく、宮城県仙台市ではコーヒー飲料のジョージアの500mlペットボトルを150円で発売し、対前年度比20%増の100万ケースを出荷した実績を持つ。また、ここにきては300mlのベビーコーク(100円)、FIFAワールドカップボール仕様パッケージなど次々と発売している。
今後、同社だけではなく、飲料メーカーのサイズは多様化していくことになるのではないか。
パッケージの変更は、単位当たり価格(ユニットプライス)の変更にもつながるので、それに伴って新しい価格体系がつくられる可能性もあるだろう。