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レジの斉藤さん(ただし仮名)

 斉藤さん(仮名)は、いつもそばの西友のレジで働いている。もちろん、いまも。

 

 3年前の正月にも、やっぱりレジを打っていた。世間は、冬休みで浮き足立っているなか、少ないお客を待っている姿が印象的で、表情はどことなく寂しげだった。

 

 小柄な女性で50歳前後、ちょっと太め、メガネをかけている――。斉藤さんがどんなヒトなのかは実は、良く知らない。けれども、買い物に出かけるといつもいる。

 

 西友の経営がいまひとつ安定していなかった時期は、暗い表情が多かった気がする。無言でひたすらレジを打ち続けるものの、むすっと不機嫌そうな時もあり、残念ながら覇気を感じることはできなかった。

 

 作家の安土敏さんは「店舗のストレスはレジに現れる」と言う。

 

 確かにそのとおりで、たとえば、野菜などに値段のシールがしっかり貼られておらず、途中で剥がれてしまった場合、レジ係は、誰かに聞きに行かねばならない。その間、お客は待たされ、戻ってきたレジ係を叱りつける。他部門のミスは、すべてレジ係に集約されるわけだ。

 その意味では、レジは店舗の顔であると同時に、その企業の顔であると言ってもいい。

 

 

 先週の日曜日、斉藤さんのレジに並ぶと自分からお客に声をかけているところを目撃した。にっこりほほ笑みながら、「お嬢ちゃん、いくつちゅ?」。斉藤さんが笑うところを初めて見た。

 

 私の通う西友は、「KY(カカクヤスク)政策」を展開以降、お客が戻り出し、いつも混雑するようになっている。

 店舗の賑わいや企業の復活が斉藤さんたちに元気を与えているのか、斉藤さんたちのがんばりが西友を浮上させているのか。

 たぶんその両方なのだろうが、レジ係が楽しそうに働いている店舗は気持ちのいいものだ。

 

(追記)

 本日、そばの「ユニクロ」が創業60周年大感謝祭を実施しています。ヒートテックが600円(通常価格1500円)、フリースジャケットが990円(通常価格1990円)、5000円以上買うと、1万円の現金が当たるかもしれないラッキーカードをもらえるなどのチラシを出していたので、開店の早朝6時に行ってみました。開店前に300人近い人たちが並び、すでに入場制限中。消費者は、価格に本当に敏感です。