昨晩、ある会合に出席したところ、誰かに傘を間違えられて持っていかれてしまい、「傘がない」状態で歩くはめになった。
振り続く小雨の街を、傘をささずにしげしげと眺めまわしてみると、日本の傘のバリエーションがずいぶん少なくなってしまっていることに驚いた。
歌手の三善英史さんがデビュー曲の『雨』で「傘の花が咲く」とうたったのは、もう40年も前のこと――。
いまや、若い男性の持つ傘は、100円ショップのビニル製が大半だ。
サラリーマンやOLは、それよりも若干、アッパークラスの500円から1000円の単色の傘。老年の男性は、黒の大蝙蝠だ。
いずれも「雨をしのぐ」という機能は十分に果たすのだろうけれども、何とも無機的で味がない。
間違えられてしまったり、置き忘れてしまったりするリスクを考えれば、安い傘が巷に溢れることは当然の流れだろう。
しかし「紳士のたしなみ」や「洋服とのコーディネートを楽しむ」といった傘の2次的機能だって忘れてもらいたくはない。
唯一、こんな状況に光明をもたらしているのは、30代以上の「大人の女性」たちだ。
生地や骨組にしっかりとデザインが施された素敵な傘を持ち、殺伐とした雨の街に少しの賑わいと安堵感をもたらしてくれる。
高額品を賛美するつもりはないが、素敵な傘の持ち主は、雨の日にはさらに輝いて見えるものだ。
今度の雨の日には、そんな観点で街をじっくり眺めてみてはいかがだろうか。