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小売業は消費者のことをよく知っているというけれど…

 以前からある疑問があった。

 

「小売業は消費者に一番近い所におり、日々消費者と接しているので、消費者のことをよく知っている」という“常識”についてだ。

 

「本当かな?」と思う。

 

 プライベートブランドづくりでも、「消費者の立場に立ち、トレードオフの手法を用いて、開発をすれば良い」と言われる。だが、小売業は消費者に一番近い位置にいるからといって、簡単に消費者の立場に立てるのか?

 

「小売業には、POSデータの蓄積があるので、消費者の情報をよく持っている」という説もある。しかし、POSデータは所詮、過去のデータであるし、アンチファンの情報まで得ることはできない。

 

 消費者と接点があることと消費者を理解していることは別の話だろう。

 

 食品スーパーのケースでいえば、バイヤーは、主要顧客である“主婦”とは相当遠い所にいる。第一、日常業務に忙殺され、家族のために料理を毎日作るような生活は送っていないはずだ。

 

 なかには、消費者のことを熟知しようと、「モニタ―制度」や「お客さま店長制」「ハウスカードの発行・分析」など、さまざまな取り組みに努め、うまく機能している小売業もあるだろう。

 

 しかしながら例外はいつでもどこにもあるわけで、現実的には、メーカーも卸売業も小売業も「消費者の理解度」には、それほど大差はない。

 

「小売業は消費者との接点だから消費者のことをよく知っている」というのは、大きな思い違いだと思うのだが、大きな思い違いをしているのは私なのだろうか?