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いかに儲けの幅を決めるか?

 もし、小売業の店舗に競争がない独占状態の場合、商品を売った時の儲けの幅は一体、いくらに設定すればいいのだろうか?

 

 30%、40%、50%、100%、200%…。商人としての倫理を顧みず、そのことで需要が縮まなければ、いくらでも大きな数字設定することができる。

 

 現実的に孤島や山頂で売られている缶飲料やカップめんなどは、相場の2倍を超えている場合もある。

 

 だが、現在のような競争激化の環境下で、そんなことをすれば消費者に見捨てられてしまうことがオチだ。

 

 実際に、自社の意思で儲けの幅をコントロールできている企業は少なく、売価も粗利率も本質的には競争相手のライバル店を見て決めているといっていい。

 

 その結果、小売業は、原価ぎりぎりまで、または出血大サービスで赤字になっても、儲けの幅を落として、やせ我慢の限りを尽くし、その場しのぎをすることになる。

 

 それが小売業の生産性低迷の一因になっていると考えられ、他産業との人材獲得競争に敗れ、良い人材が集まらないといわれる遠因になっている。

 

 結局は、小売業界自体が自らの首を自らが締めているのである。

 

「顧客の維持深耕・創造」のために儲けの幅をいくらに設定するかは非常に難しい問題だが、常軌を逸した安売りは、自社のためにも業界のためにもならない。