ファーストリテイリング(山口県/柳井正社長)が2011年8月期決算を発表した(10月12日@シャングリラホテル)。柳井社長は、疲れ気味か用意した原稿をつかえながら読んでいた。今日から、3日連続でその時の模様を再録する。(文責:千田直哉)
2011年8月期の連結業績は、売上高8203億円(対前期比0.7%増)、営業利益は1163億円(同12.1%減)、経常利益は1070億円(同13.5%減)、当期純利益は543億円(同11.9%減)という増収減益だった。
国内ユニクロ事業の売上高は対前期比150億円減(国内靴事業休止の影響50億円減含む)。海外ユニクロ事業は同209億円増。グローバルブランド事業は2011年2月に「キャビン」事業のブランドを休止した影響の約100億円減を含めて同11億円減という結果だった。
上期は、ユニクロ事業のヒートテックとウルトラライトダウンの販売が好調だったものの、シーズン中盤から後半にコア商品の欠品が目立った。海外ユニクロ事業は台湾、マレーシアへの新規国出店が成功した。
下期のユニクロ事業は、機能性インナー(シルキードライ、サラファインなど)の販売数が同倍増。海外ユニクロ事業は中国、台湾、韓国、アセアン諸国での大量出店にメドがついた。グローバルブランド事業の「セオリー」は日本米国で大幅な増益を達成し、「ジーユー」の知名度が飛躍的に向上したと自負している。
実際に下期は好調で売上高3630億円(同5.6%増)、営業利益343億円(同5.6%増)と増収増益を達成している。
2012年8月期は売上高9650億円(同17.6%増)、営業利益1355億円(同16.4%増)、経常利益1275億円(同19.1%増)、当期純利益710億円(同30.6%増)を予想する。
その実現に向けて、ユニクロ事業は、商品力を強化する。マーチャンダイジング(MD)、R&D(リサーチ&デベロップメント)、計画、マーケティング、生産と販売・店舗の連動体制を強化したい。これまで以上に複数の国で製造して複数の国で販売し、商品はグローバルに統一する。
そのために「ユニクロの服とは」という定義を明確にする。これは経営の原点であり、最終到達点である。
具体的には、
ユニクロの服とは、服装における完成された部品である。
ユニクロの服とは、人それぞれにとってのライフスタイルをつくるための道具である。
ユニクロの服とは、つくり手ではなく着る人の価値観からつくられた服である。
ユニクロの服とは、服そのものに進化をもたらす未来の服である。
ユニクロの服とは、美意識のある超・合理性でできた服である。
ユニクロの服とは、世界中あらゆる人のための服、という意味で究極の服である。
UNIQLO MADE FOR ALL
ということ。これを全社員で共有して、あらゆる人たちに伝える。それが大事だと考えている。