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「M―1グランプリ」終了を高く評価する

 若手漫才の日本一を決める「M-1グランプリ」が第10回目の今年で終了すると発表された。

 主催するよしもとクリエイティブ・エージェンシー(大阪府/水谷暢宏社長)は「当初の目的を達成できた」と説明している。

 

 国籍、性別、プロアマなどを問わず、コンビ結成から10年以内なら誰でも出場できる「M-1グランプリ」は2001年にスタート。過去に、〈中川家〉〈ますだおかだ〉〈フットボールアワー〉〈アンタッチャブル〉〈ブラックマヨネーズ〉〈チュートリアル〉〈サンドウィッチマン〉〈NON STYLE〉〈パンクブーブー〉の9組が栄冠を獲得している。

 

 私は、今年限りでの終了を決めたよしもとクリエイティブ・エージェンシーのジャッジは英断であったと高く評価したい。

 年末の風物詩としてのポジションを確固たるものにしている「M-1グランプリ」をやり続ければ、視聴率はとれるだろう。若手芸人の真剣勝負には、常にドラマがあり、視聴者のこちらまでがつい引き込まれてしまう緊張感もある。

 

 しかしながら、この番組の欠陥は、「毎年、覇者を出さなければいけない」ところにある。不作の年でも、必ず優勝者が生まれてしまう。

 

 実際、以前の「M-1グランプリ」の優勝者には、「さすが若手ナンバーワン」とうならされるような腕のある者たちがいたけれども、回を重ねるにつれて「なぜ?」と首をひねってしまうようなコンビが多くなってきたような気がする。

 きっと「M-1グランプリ」開催の1年間という周期と優秀な若手漫才師の成長サイクルにはズレが生じているのだろう。

 

 その結果、せっかく「M-1グランプリ」を獲得したのに、つまらないバラエティ番組の雛壇に並ぶ芸人に堕落し、「そういえば、この人たち、『M-1グランプリ』を取ったことがあったんだ」とがっかりさせられる。

 

 どんなに良い制度も疲労していくものだ。

 そのことにいち早く気づき、惜しまれているうちに幕を閉じ、次の企画に結びつけるということはなかなかできることではない。

 

 一般の企業も、ぜひ、この姿勢を見習いたいものである。