一物一価の法則とは、「自由競争下において同一の市場の同一時点における同一の商品は同一の価格である」という経験則だ。
この経験則を破り、1994年にビッグハウスという新業態に「一物三価」という斬新な価格戦略を取り込み、一世を風靡。北海道での地歩を固めに成功したのはアークスの横山清社長だ。
さらには「一物五価」というホームセンター企業もある。
その企業は、重点商品を設け、展開する1万5000アイテム中の1000アイテムについては5つの売価を持っている。
売価変更部隊としてのリサーチャーがおり、3か月に一度メンテナンスをかけ、競合している企業ごとに売価を変える。
ベースになっているのは、無競合の時の売価であり、値札付けはしていない。
無意味な値下げは誰だってしたくない。しかし、本部のシステム上、煩雑な作業が強いられることを理由に全店舗の値段を一斉に下げてしまう、あるいは値下げを一切しない企業は少なくない。
競争環境をにらみながら、変幻自在に5売価で対応する、その企業は、成熟傾向にあるホームセンター業界にあって、しっかりと安定的に利益を計上している。