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安く売るだけなら根性でできる

 ある製造業トップの話――。

 

 「チェーンストアは経営者が楽するためのシステムという見方をしています。実際に、チェーンストア経営で創造性を必要とするのは標準店の開発くらいしかないでしょう。しかも、その標準店舗が決まれば一気呵成に出店できるのでこんなに楽な商売はありません。本当は、チェーンストアには、商品開発など大事な業務があるのですが、製造業との交渉で有利な条件を引き出すことにばかりに力を注いで、そこには着手しない。無から有を作り出すことがないのです。その結果、チェーンストアの経営者は時間があり余ってしまい遊んでいる人も多い」。

 

 ずいぶん、厳しい表現も含まれているが、当たっている部分もある。

 

 そのトップはさらに続ける。

 「製造業の場合は、リサーチ&デベロップメントに始まり、生産管理、マーケティング、営業、為替対策と常に何か知恵を出さない限り、企業の成長を維持することはできません。だから、日々、自己革新が必要になるのです」。

 

 「では、チェーンストアの革新とは何か?」と、そのトップに問うと、「安く売るだけなら根性でできます。しかしながら、安く売れる仕組みをつくるのには知恵が必要です。チェーンストアでも、トップが遊んでいないユニクロ、良品計画、ニトリなどは、この部分に挑んでおり、楽をしていません」。

 

 さて、さて。胸に手を当てて、自社が「根性派」か「知恵派」なのかを自問自答してみたい。