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ヤオコーに“店舗プロデューサー”あり!

 最近、ヤオコー(埼玉県)の川野清己社長は、新座店の店長を叱った。新座店は、『チェーンストアエイジ』誌が2010年4月1日号で発表した「STORE OF THE YEAR」の単独店舗部門で第1位に輝いた大変な優良店舗である。

 理由を問うと、「進化が止まっているから」だという。

 川野社長は、立地はジャッジするものの、その後、店舗が開業するまで、レイアウトやゾーニング、商品政策、販売促進などには一切口を出さない。オープンして初めて店舗を見るようにしている。

 

「店舗の開業初日は50点です。ここから、どんどん地域のお客様の意見や嗜好を取り込んで店舗を完成させていき、100点、120点、200点、300点を目指していきます。だから、店舗は進化させ続けなければいけません」。

 売上が順調なことを理由にそのことを怠ったというのが川野社長の鼓舞の真意と言えそうだ。

 

 もうひとつ、川野社長の経営手法で気付いたことがある。

 店舗は、多くの部門が融合して初めて成り立つわけだが、ややもすると、セクショナリズムが台頭し、店舗内には部分最適の思考が跋扈するようになる。

 それを全体最適に移行するように調整しているのだ。すなわち、“店舗プロデューサー”とでも言うべき役割だ。

 たとえば、販売促進で嗅覚に対する訴求を行った場合、精肉売場の焼肉の臭いが青果売場や鮮魚売場に届くことがある。当該部門以外にとっては、邪魔な“臭い”だけれども、“臭い”だから縄張りはなく、誰も文句は言えない。

 しかし、“店舗プロデューサー”がいて、不適切だと判断すればやめさせることができるわけだ。

 そんな、これまでの食品スーパーにはない新しい職務を果たしているのが川野社長だ。