スポーツ観戦の醍醐味のひとつは、前代未聞の速さ、強さ、技術、記録などを目の前で見せてくれる選手が出現することにある。
潜在能力があり、伸び盛りで底を見せていない選手の活躍を見守ることはファンではなくても興奮するものだ。
その意味で、最近、圧倒的な存在感を示しているのが、北海道日本ハムファイターズの中田翔内野手(21)だ。
高校3年間の通算本塁打数87本――。
新記録を引っ提げて、ドラフト会議では4球団から指名を受け、鳴り物入りでプロ入りするものの、鳴かず飛ばずの状態が続いた。
ところが、入団3年目の今年、地道な努力が実を結び、大ブレークを予感させる活躍ぶりを見せている。最近11試合で打った本塁打は実に8本。一昨日まで、4試合連発という好調ぶりだ。
このペースで本塁打を量産すれば、144試合では104本。王貞治さん、タフィ・ローズ、アレックス・カブレラが持つ日本記録の年間55本塁打はもちろん、バリー・ボンズのメジャー記録73本塁打も大きく上回ることになる。
そんなに単純な計算通りに行かないことが、スポーツの面白さであることは承知しているつもりだ。しかし、ついそんな皮算用をしてしまうような可能性を持つ選手が登場したことを大いに喜びたい。