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中国、国技の威信を懸けた卓球イノベーション

 卓球最強国、中国――。

 

 全日本卓球選手権大会男子シングルス5連覇の水谷隼選手や高校生で全日本女王を獲得した石川佳純選手など日本人のトップ選手でもなかなか歯が立たない。

 原因は、「中国の卓球」と「日本の卓球」の違いだ。

 

 中国の特徴は、ボールの回転にある。単純に強い球を打つだけではなく、回転の方向、回転数など熱心に研究して、過去に誰も見たことのないような球種を開発し打ちこんでくる。

 

 日本の卓球は、年々進化はしているものの、ラリーをしながら点数を重ねていくというスタンダードスタイルだ。

 

 中国が開発する新しい球種によるサーブはとくに強力であり、通常のように、ラケットで取りに行っても、あまりの衝撃にはじかれてしまう。

 サービスエースを決められてしまうことが多く、日本が得意とするラリーに持ちこむことさえ難儀だ。

 

 中国は、卓球という競技の中で、新しい技術、新しい戦術、新しい手法、新しい勝利の鉄則を開発し続けているのである。

 室内で行われることが多い卓球は、「シューズ」、「ラケット」、「ボール」、「ウエア」、「テーブル」というほぼ5要素しか存在しないシンプルな競技だ。

 そのなかでイノベーションを続ける中国卓球には、国技としてのプライドともいうべき執念を感じる。

 

 残念ながら、日本で国技とみなされている“あれ”とは大いに異なる。