あるCSC(コミュニティ型ショッピングセンター)での話――。
オープンセール期間中にテナントB店では目玉商品として、T‐fal(ティファール)の電気ケトル(1.2リットル)を2980円の特別価格で先着20台を限定販売していた。
同じ敷地内のテナントC店では、同じ商品が2780円。とくに台数は限定していないが、1人1台限りの条件付きだった。
アマゾンドットコムで調べれば、定価は6825円。アマゾンでの値引き価格が4018円なので、相当な目玉商品であることが分かるだろう。
さて、どちらのほうが売れたのだろうか?
経済の原則から言えば、B店よりもさらに200円安いC店の方が売れるだろうと予想できる。ところが、あにはからんや、B店では完売。同じころ、そこから徒歩1分のC店には在庫がしっかりと残っていた。
総販売台数は、100台以上の店頭在庫を抱えるC店の方が多いとは思う。
しかしながら、最低価格が必ずしも競争力に直結していないということも分かる。
同じ商品であっても、5W3Hの打ち出し方で売れ行きは相当変わるものだ。それが商売の奥深さである。
たとえば、2リットルの水のペットボトルは、ディスカウントストアならば1本100円以下でも飛ぶようには売れないが、砂漠の中なら1万円以上で売れる可能性がある。
LED(発光ダイオード)蛍光灯は、個人相手にはそれほど売れないかもしれないが、法人相手なら販売数量は10倍以上に増えるかもしれない。
だからこそ、闇雲な安売りは要注意であると思う。
What(何を) 、Who(誰に)、When(いつ) 、Where(どこで) 、Why(どうして)、How(どのように)、How much(いくらで)、How many(どれだけ)という中の1つの要素を他社と変えることがとんでもない競争力になることもある。