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えっ?! 5000年に一度も?

 東京電力(東京都/西澤俊夫社長)は、福島第一原子力発電所の炉心が再び損傷する確立を「5000年に一度」とする試算を政府に提出した。

 東日本大震災以前は1000万年に一度としていたから、事故の確率は2000倍も増えたことになる。東京電力は「あくまでも要因を探り対策を考えるため。自信をもって言える数字ではない」としている。

 

 しかし、東京電力は、「5000年に一度」と言えば、原子力発電所の安全宣言になると考えたのだろうか?

 

 5000年前と言えば人類文明の黎明期。その時代を生きた者は現在、誰も生存していない。エジプト文明やメソポタミア文明などが出現した頃のことであり、果てしなく昔のことである。

 

 しかし5月31日のBLOGでも書いたように、高レベル放射性廃棄物は安全な状態になるまで、10万年間かかる。であるならば、「5000年に一度」の事故確率は、まったく安全とは言えない危険状態にあるのは誰にでもわかることだ。

 

 http://diamond-rm.net/articles/-/3619

 

 また、『NUCLEAR TECHNOLOGY REVIEW 2010』によれば、全世界で稼働する原子力発電所の数は29カ国で合計431基。5000年を431で除すると、約12年に1回は世界のどこかの原子力発電所の炉心が損傷するかもしれない、と理解できなくもない。

 

 「5000年に一度」を根拠に電力会社が原子力発電所を再稼働させるのであれば、まったく勘定が合っていないことを指摘しておきたい。

 ことに原子力に関しては、もう「想定外」という言い訳があってはならない。