携帯電話を使い始めた1997年ごろから電話番号を覚えなくなった。
以前は、電話をかける頻度の高い30か所分くらいの番号を覚えていたものだが、記憶力は確実に退化しているのだろう。
同じようにデジタルカメラやデジタルビデオカメラの発達普及によって映像の記憶力も退化しているように思える。
小学校の運動会に行けば、のべつまくなしにファインダーをのぞいている父母ばかり…。もっとライブ感を楽しんだ方が良いとも思うのだが、写真やビデオを撮ることが目的になってしまっている。
「瞼に焼き付ける」「脳裏に焼き付ける」、という言葉がある。
こうしておけば、どんなところにいても再生機はなくても、楽しかった場面を頭の中で思い出すことができる人間ならではの凄い技である。
けれども、いまは、なんでもHDD(ハードディスクドライブ)に焼き付けてしまう時代。時流には逆らえないと思いながら、ヒトの能力の退化を漫然と見過ごしていていいものなのか、と考えてしまう。