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アークス(北海道)がユニバース(青森県)を経営統合

 北海道を地盤にする食品スーパー(SM)大手のアークス(横山清社長)は、10月21日付でユニバース(青森県/三浦紘一社長)を子会社にすると発表した。

 2社ともに共同仕入れ機構CGCグループ(東京都/堀内淳弘代表)加盟の企業であり、もともと近しい関係。「2年前から協議をスタートさせていたが、随分と長くかかってしまった」とアークス横山社長は振り返る。

 アークスは株式交換方式でユニバースの株を取得。ユニバースの普通株1株に対してアークスの普通株1.205株を割り当てる。

 アークスの会長には、ユニバースの三浦紘一社長が就任。アークスの福原朋治現会長は副会長に、横山清社長は続投する。

 アークスは、北海道を地盤とする株式公開SMのラルズ(札幌市)と福原(帯広市)の経営統合によって2002年に設立。以後、ふじ(旭川市)、三島(士別市)、札幌東急ストア(札幌市)などを傘下に収め、企業規模を拡大してきた。

 2011年2月期の業績(連結)は売上高3036億800万円(対前期比12.1%増)、営業利益92億7200万円(同4.9%増)、経常利益100億6100万円(同5.2%増)、ROA(総資産経常利益率)8.4%を計上するSM業界の勝ち組の1社だ。

 M&A(合併・買収)には殊のほか積極的で、「八ヶ岳連峰経営」をグループ経営の基本方針に掲げる。

 横山社長は、『チェーンストアエイジ』誌のインタビューに「次の目標はグループ売上高5000億円、北海道のシェア30%(中略)アークスグループの10年後を考えると無理のない経営計画であると考えています」(2011年5月1日号)と答えていた。

 一方、ユニバースもSM業界の中では勝ち組の1社。少子高齢化や人口減少が著しい北東北でも増収増益を繰り返し、2011年4月期の業績(連結)は、売上高1025億8200万円(同4.5%増)、営業利益40億5700万円(同18.7%増)、経常利益41億7000万円(同18.1%増)、ROA10.6%を計上する。

 アークスグループ入り後は、現在店舗を展開する青森県、岩手県、秋田県はもちろん。それ以南の県、関東エリアへの拡大にも動き出すという。

 今回の合併によって、アークスの売上高は4061億9000万円となり、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)の売上高4668億9500万円に次ぐSM業界第2位の規模の企業誕生となる。

 両社の合併は、先行き不透明の時代の中で、互いに力のあるうちに経営統合し、消費者満足度、経営指標、経営効率の向上を図ることにあると考えられる。

 アークス横山社長は「寡占化しないと生産性が上がらない。生産性が上がらないとSM業界の社会的地位は上がらない。だから規模を拡大する。これで(アークスも)何とか次の10年間は持つだろう」と語った。

 そして、この合併がSM業界に与える影響は大きいと見られる。

 SMは売上首位のライフコーポレーションのシェアでさえ2.7%と寡占化が進んでいなかった業界――。

 だからこそ、この合併が中堅規模のSM企業の焦燥や不安を惹起する可能性があり、合従連衡に拍車がかかっていくと予測できる。