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第1677回 PAPER BLOG+ アマゾン、やっぱり恐るべし!

 日本でもネット通販(Eコマース:以下、EC)が小売業界のなかでの地位を確固たるものにしている。

 

 経済産業省の調査によれば、2015年の我が国の「消費者向け電子商取引」の市場規模は13兆8000億円と対前年度比7.6%増。EC化率(すべての取引におけるECによる取引の割合)は4.75%と同0.38ポイント増加した。
 うちスマートフォン経由は1兆9862億円(推計)で「スマートフォン化比率」は27.4%だった。

 

 分野別では、「物販系分野」が7兆2398億円(同6.4%増)、「サービス分野」が4兆9014億円(同9.4%増)、「デジタル分野」が1兆6334億円(同8.1%増)となっている。

 

 日常生活にも確実に浸透しているECではあるけれども、死角がないこともない。

 

 その最大のものの1つと目されるのは「国民的なイベント」だ。
 楽天(東京都/三木谷浩史社長)によれば、「リオデジャネイロ五輪のあった8月の楽天市場のユーザー数と注文件数は、前年度をクリアしていたものの前後の月との比較では谷をつくる格好になった」という。
 また、「米国大統領選挙当日の米国におけるトラフィックは驚くほど落ちた」(楽天)そうだ。

 

 ということは、消費者がキーボードを打てなくするほどに時間を奪う「体験型のイベント」にはEC対策のヒントが隠れていると言えなくはない。たとえば、「子供が遊んでくれるスペース」「会話を弾ませる雰囲気」「老人がワクワクする場所」づくりなどには、ECの地盤を根本から切り崩す可能性がある。

 

 ただし、そんなことにアマゾン・ドット・コムはすでに気づいているのだろう。

 

 ボタンを1回押すだけで、特定の「洗剤」「飲料」「シェービング」「化粧品」「ベビー用品」「ペット用品」などを届けてくれる「ダッシュ・ボタン」や人工知能「アレクサ」を活用し消費者との会話で商品発注を可能にした「アマゾンエコー」など、省時間型のデバイスを続々と開発、発売している。

 

 死角を自ら見つけ、業界に先駆けてひとつひとつ潰していく――。
 アマゾン、恐るべしである。