日酒販が決算発表
日本酒類販売(東京都/田中正昭社長)の2019年3月期決算が明らかになった。単体売上高は、5189億9800万円(対前期比0.5%増)、営業利益は38億5500万円(同12.5%増)、経常利益42億6800万円(同10.2%増)、当期純利益33億1500万円(同31.9%増)の増収増益だった。
2017年6月に正当な理由なく「総販売原価」を下回る価格での販売を規制した改正酒税法が施行されたことを追い風に変え、売上総利益を0.3ポイント(約15億6000万円)改善したことが業績に貢献した。
しかしながら、ドライバー不足に端を発する物流費は、販売管理費を5.0ポイント(約12億円)ほど押し上げ、営業利益を圧迫している。
単体の商品別売上は下記の通りだ。
【商品別売上(単体)】
清酒 321億3700万円 対前期比増減なし
連続式蒸留 251億6000万円 同2.5%減
単式蒸留(本格焼酎) 966億5700万円 同3.0%減
その他 28億6100万円 同0.5%減
和酒計 1568億1700万円 同2.3%減
国産洋酒 740億5100万円 同10.7%増
輸入洋酒 410億300万円 同5.9%増
洋酒計 1150億5500万円 同8.9%増
麦酒 956億4100万円 同4.2%減
発泡酒 170億8600万円 同0.9%増
新ジャンル 403億4800万円 同2.9%増
ビール系計 1530億7600万円 同1.8%減
洋酒では、ワインは横ばい。ウイスキーはハイボールブームなどによって市場が活性化しており国産・輸入ともに伸びている。
チャネル別の売上は下記の通り。
【組織小売業のチャネル別売上(単体)】
コンビニエンスストア 502億1900万円 対前期比4.2%増
スーパー 1137億300万円 同2.9%減
ディスカウントストア 479億1300万円 同0.1%増
ホームセンター 167億3000万円 同3.1%減
ドラッグストア 372億7400万円 同12.8%増
その他 52億2400万円 同3.1%減
ネット通販 125億3500万円 同15.8%増
改正酒税法施行でコンビニエンスストアとの間に大きな価格差を出せなくなったスーパーが前年を割れた。逆にコンビニエンスストアは伸びている。
一方、ドラッグストアは、大量出店効果および取り扱い店舗数が増えており、12.8%と大きく伸長。顧客の来店頻度を上げることを意図して食品を強化する企業が増えていることが数字に表れているといえよう。
当面の問題は物流費の上昇だ。同じ納品先で帳合が縦割りになっているケースや配送困難エリア限定で商社系卸や同業者卸と共同配送し、物流費削減に努めていく。
なお、創業70周年に当たる2019年3月期(単体)は、売上高5260億円、経常利益43億円を目指し「ストロング&グッド カンパニー」に向け邁進する。