オススメの一冊、『DX経営図鑑』

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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『DX経営図鑑』
金澤一央・DX Navigator 編集部=著(アルク刊/2310円〈税込〉)

 ここ数年、日本でもあらゆる業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が叫ばれるようになり、多くの企業でさまざまな取り組みがみられるようになった。しかし、本質的な意味でDXを実現できている企業はそう多くはない。DXとは単なるデジタル化にとどまらず、新たな技術の導入やそれによって得られた利点を活用して顧客への価値提供の方法や仕組みを変革し、他社の追随を許さない新たな競争優位性を獲得するプロセスのことだ。

 本書は、タイトルにもあるとおり、世界各国の合計32社の事例を取り上げながら、「DXとは何か」を顧客視点で解説した「図鑑」である。本書は2部構成となっている。「Part1 世界のDX事例と価値交換の仕組み」では、これまでの商習慣や価値提供の概念を新たな基準へと転換した「ゲームチェンジャー」となった伝統的企業9社を取り上げている。「Part2 業界別に見るDX事例」では、海外のスタートアップを中心に、国内企業も含めた23社の事例を解説している。小売や飲食、物流、金融など幅広い業界の企業が収録されている。

 Part1では、事例の1つとして、世界的な小売企業であるウォルマート(Walmart)を紹介している。ECの普及により店舗に行かなくてもモノが買えるようになったとはいえ、日本より国土が大きいアメリカでは配送に時間がかかり、生鮮食品など「今欲しいもの」を手に入れるのには不向きだ。ウォルマートはBOPIS(Buy Online Pickup In Store)の導入によりレジ待ちの時間を削減し、ECよりも早く商品を入手できる体制を整えた。すぐに欲しいものはBOPISで、そのついでに買い忘れたものを店舗で、時間がかかってもよいものは配送で──。ウォルマートはDXを実現するうえで、アマゾン(Amazon.com)のようなEC企業にはないリアル店舗のメリットを最大限に活用し、顧客の状況に合わせた自由度の高い購買体験を提供している。

 本書ではこのほか、米メイシーズ(Macy‘s)や中国のフーマーフレッシュ(盒馬鮮生)、日本のワークマン(群馬県)などの小売企業だけでなく、ウーバー(Uber)やネットフリックス(Netflix)、スターバックス(Starbucks)など、多種多様な企業の事例が収録されている。DXの本質を学ぶうえで、本書は大いに役立つだろう。

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