デジタル技術の発達によって消費者の買物の仕方は大きく変化している。コロナ禍ではそのスピードがますます加速し、ECやネットスーパー、「Uber Eats」などのフードデリバリーサービスを利用する人が大幅に増加した。
本書では、E C、D2Cなどのコンサルティングを手掛ける望月智之氏が、デジタル化における買物の仕方を踏まえつつ、「人と人のつながり」を軸に、現在起こっている消費トレンドの変化や今後の予測、買物に関するテクノロジー「ショッピングテック」などを解説。同氏の前著『2025年、人は「買い物」をしなくなる』に続く内容となっている。
本書は序章を含めて6章構成となっている。コロナ禍で変化した消費行動や口コミの重要性、ECで日本の先を行くアメリカと中国の事例、顧客体験の向上に注力する企業の紹介、楽しさと融合した未来の買物体験など、デジタル化による買物の仕方の変化が、店舗の在り方や商品の売り方などにどのように影響するかを多角的な視点で解説している。
第2章「生活者をつなぐ口コミはどう変化したか」では、電話の登場からインターネットの発達に至るまでの口コミの歴史を振り返りながら、口コミがデジタル時代の購買行動にどのような影響を与えているのかを紐解いている。
インターネット上には、さまざまな商品のレビューが書き込まれており、多くの人が商品を購入するかどうかの判断材料にしている。その多くが匿名で書かれたものであるにもかかわらず、人々が商品を購入する際に口コミを重視するのはなぜなのか。著者は、匿名の口コミにこそ、実際にその商品を購入したユーザーの「本音」が隠されているからだと主張している。
これまでは、商品の品質や利便性などは、実際に購入して使用するまではわからなかった。CMなどからはつくり手が伝えたいことしか伝わらない。ところが、ネット上の口コミでは、よい面も悪い面も、実際に商品を購入した人の生の情報を知ることが可能だ。当然、その情報の正確性は自分で判断しなければならないが、それでも人々が口コミを求めるのは、買物における失敗のリスクをできるだけ減らしたいからだと著者は説明している。
デジタル化によってこれからの買物はどう変化するのか。本書を読めば、そのヒントが見えてくるはずだ。