今年も本誌恒例企画「ダイヤモンド・チェーンストア編集部が選ぶ流通業界10大ニュース」をお届けする時期となった。2020年を振り返ると、やはり新型コロナウイルス(コロナ)の世界的な感染拡大による影響なくして語れないだろう。消費者の生活様式は一変し、小売企業も大きな影響を受けることとなった。その一方で、大型のM&A(合併・買収)やグループ再編が相次いで行われた1年でもあった。コロナの収束見通しはいまだ立たないが、国内小売市場がこれまでにも増して、大きな変化のうねりの中にいることは確かだろう。HD=ホールディングス
コロナの影響は業態ごとに明暗分かれる
20年の流通業界10大ニュースの第1位は「コロナショック! 各業態で業績に明暗」だ。19年12月に中国湖北省武漢で最初に確認されたコロナウイルスは世界中で猛威を振るい、人々の生活や社会、産業に今も大きな影響を及ぼしている。
一方、小売市場においては、コロナの影響度合いは業態によって異なり、業績面では明暗が分かれることとなった。
“特需”といえるほどの好業績に沸いたのが食品スーパー(SM)業界だ。外出自粛やリモートワークの浸透などから、いわゆる“巣ごもり消費”が拡大、食品をはじめとする生活必需品を扱うSMへの需要が急増した。SM3団体のまとめによると、緊急事態宣言下にあった20年4月の全国食品スーパー270社の売上高は、既存店ベースで対前年同月比10.7%増と2ケタ伸長。それ以降も前年実績を上回るかたちで推移している。
その一方、コンビニエンスストア(CVS)は、とくに都市部に立地する店舗が外出自粛などによる昼間人口減少のあおりを受け低迷。CVS大手3社の既存店売上高は20年2月以降前年割れを続けており、2ケタ減となる月もあるなど不振が続いている。
それにも増して甚大な影響を受けたのが、コロナ以前から厳しい経営環境にあった百貨店とアパレルだ。百貨店は頼みの綱であったインバウンド(訪日外国人)の売上がコロナ禍でほぼ“消滅”したほか、緊急事態宣言下での一時休業も大きな打撃となった。日本百貨店協会の統計調査では、加盟企業の総売上高は20年4月に対前年同月比72.8%減を記録したほか、それ以降も2ケタ減が続くという悲惨な状況になっている。
アパレルも外出自粛によってファッション需要そのものが減退しているほか、主な出店先である百貨店や商業施設の休業や客数減に苦しんだ。そうしたなかで大手のレナウン(東京都)が20年11月に破産、オンワードHD(同)や三陽商会(同)なども大規模な店舗閉鎖や人員整理を進めている。
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他方、勢力図を塗り替えるようなM&A(合併・買収)やグループ再編が相次いだことも忘れてはならない。
第2位にランクインしたのは、
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